疲れたときは甘いものが食べたくなることがありますよね。でも、実は糖質が多い甘いものをたくさん食べると、より疲労を感じやすくなってしまうことも。甘いものよりもナッツで栄養を補いませんか? ナッツの栄養について管理栄養士が解説します。
疲労回復に役立つ栄養素
エネルギー代謝に関係するビタミンB群
疲れをとるためには睡眠や休息はもちろん大事ですが、栄養も体をリカバリーするために大切な要素です。
疲労回復に役立つ栄養素はビタミンB群。ビタミンB群はエネルギー代謝に関わっているため不足するとだるさを感じやすくなったり、イライラしやすくなったりします。(*1)ビタミンB群とはビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸の8種類を総称して呼びます。
エネルギー源となる食べ物をとってもエネルギー代謝に関係するビタミンB群が足りないとエネルギーを作り出すことができず、疲労を感じやすくなってしまいます。そのため、甘いものを食べすぎは疲労感がより強く感じることになってしまうのです。
疲労回復に特に効果が期待できる栄養素は?
疲れた体を回復させるために特に積極的に取りたいのは、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシンです。ビタミンB1は糖質を代謝させるときに必要になります。(*2)夏にそうめんなど麺類だけの食事が続いたりジュースをたくさん飲んだりすると夏バテになりやすいのは、糖質をとってもビタミンB1が補給できていないことが関係しています。
ビタミンB2は脂質を分解してエネルギーに変換する際に必要となるビタミンB2。(*2)肌や粘膜の細胞の再生に関係しているので、成長ビタミンとも呼ばれています。
これらの栄養素はナッツに含まれています。ビタミンB群は助け合いながら働く栄養素のため、複数のビタミンB群を一緒に摂るとよりよく働きます。いろいろなビタミンB群を含むナッツはビタミンB群補給におすすめ食材です。
疲れた時はビタミンB群補給を。どのナッツがより効果的?
ナッツに含まれるビタミンB1の比較
糖質の代謝に関わるビタミンB1を多く含むのはカシューナッツとピスタチオです。
ビタミンB1が不足するとだるさを感じやすくなったり、集中力が低下しやすくなったりするので、不足のないように気をつけて。
▼ナッツ100gに含まれるビタミンB1の含有量の比較(*3)
カシューナッツ(フライ/味付け):0.54mg
ピスタチオ(いり/味付け):0.43mg
くるみ(いり):0.26mg(*2)
18〜49歳女性のビタミンB1の1日の推奨量は1.1mgです。(*2)カシューナッツ1粒1.5gとすると、7粒で1/2日分のビタミンB1が補給できます。
ナッツに含まれるビタミンB2の比較
脂質の代謝に関わるビタミンB2を多く含むのはアーモンドです。ビタミンB2が不足すると肌が荒れたり、口内炎ができやすくなったりします。
▼ナッツ100gに含まれるビタミンB2の含有量の比較(*3)
アーモンド(乾):1.06mg
ピスタチオ(いり/味付け):0.24mg
カシューナッツ(フライ/味付け):0.18mg
18〜74歳女性のビタミンB2の1日の推奨量は1.2mgです。(*2)アーモンド1粒1.0gとすると、5粒で1/2日分のビタミンB2が補給できます。
ビタミンB1やビタミンB2を効率的に摂れるナッツですが、エネルギーがあるので食べ過ぎには注意して、ナッツばかりを食べるようなことは避けて、食事のバランスを考えて取り入れてくださいね。
疲労回復におすすめの食べ合わせ
ビタミンB群の効果をアップさせる食べ方とは?
ビタミンB群と一緒に摂りたいのは糖質やたんぱく質や他のビタミンB群です。糖質はエネルギーとして大事な栄養素、たんぱく質は筋肉や内臓を作る材料として欠かすことができません。
さらにビタミンB1の疲労回復パワーをアップさせるためにはアリシンという成分と一緒に摂ると吸収率がアップします。アリシンを含むのはにんにく、玉ねぎ、長ねぎ、らっきょうなどです。おすすめの使い方は炒め物などにナッツを入れること。例えば、タイ料理のガパオラオスは、豚ひき肉、パプリカやピーマンなどを炒めてご飯にのせたものです。にんにくを一緒に炒めて、仕上げに砕いたカシューナッツを加えると香ばしさが楽しめます。
もっとシンプルに楽しみたい方はサラダに薄切りにした玉ねぎや刻んだピスタチオやアーモンドをのせること。サラダであれば夏バテで食欲が落ちやすい時期でもさっぱりいただけます。
<参考文献>
*2:厚生労働省,「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,各論, ビタミン(水溶性ビタミン)
*3:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」